太陽系10億分の1模型 ホーホー村教育研究所 2000.1.7(3.11一部改訂 2011.8一部改訂)

仮説実験授業の授業書<宇宙への道>では、太陽系のモデルを30億分の1として展開されていますが、授業書<宇宙への道>や、ぼくの授業プラン<宇宙と人間>で、ぼくは、10億分の1の太陽模型を使っています。10億分の1では、太陽が1.4m、地球が1.3mm、木星が14cmとなります。なかなか大きくて扱いが大変、模型の制作も難しいという面もありますが、教室で提示するには最も良い縮尺だと思われます。一番の問題は、授業書<宇宙への道>で、[月と、太陽とをその模型の縮尺離れたところから、その大きさをくらべる]という作業が面倒ということです。30億分の1の模型では、太陽までの距離が50mで済んでいたものが、150m必要ということになるのです。50mなら廊下などでも取れるが、150mでは、外でも校地内に入りきらないこともあるのです。しかし、大きな赤色の色模造紙に1.4mの太陽を描き、それを校舎に貼ったりすれば、通りに出て150mの距離可能なところがけっこうあると思います。

授業プラン<宇宙と人間>を紹介や、2000年「たのしい授業」体験・入門講座(札幌)で受け持たせてもらった<宇宙への道>講座でも、10億分の1の太陽模型は、大好評で、希望者に実費プラス手数料でおわけしました。

この講座のために、紙粘土の模型を3セットほど作ったのですが、自分で作る方の参考になると思いこの資料を作ることにしました。ただ、紙粘土では手間が大変で、今後は発泡スチロールを使ったものにして、量産を考えたいと思っています。以下は、紙粘土バージョンです。

10億分の1の太陽模型データ
惑星 直径

太陽からの距離

備考
太陽 140cm

 
水星 5mm 60m  
金星 12mm 100m  
地球 13mm 150m  
火星 7mm 230m  
木星 14cm 800m  
土星 12cm 1500m 輪の直径 内15cm 外27cm
天王星 5cm 3000m  
海王星 5cm 4500m  
冥王星 2mm 6000m  

材料

紙粘土

ホームセンタで「デビカ」の1kg入りという紙粘土が¥145円と安かったので、これを10袋買ってきました。これで、3セットできたので、この作り方では、1セットに3−4袋いることになります。

心材

粘土を経済することと、軽量、乾きを速くするたのに、木星・土星・天王星・海王星には、心材を入れました。土星・木星は、スタイロホームの5cm厚のものがあったので、それを木星と土星の心材としました。

天王星、海王星の心材は、直径35mmの発泡スチロール球。

水星、金星、地球、火星、冥王星は、心材を使わない。

冥王星だけは、直径2mmと、とても小さいので、ホットボンドで作成した。適当な頭の待ち針があるようなので、探してみたいと思っています。

スタンド

水星、金星、地球、火星・冥王星は、小さいので、フイルムケース油粘土を入れて、そこにこれらの惑星のピンを刺してスタンドとしました。土星の輪は、本体にかぶせ、展示する時は、片方に台を置いて、斜めにかぶるようにします。

 

本体の作成

木星・土星

(1)スタイロホームの5cm厚のものがあったので、それを木星と土星の心材を作りました。木星は、コンパスでスタイロホームに直径12cmの円を書き、 電熱線カッターで円形に切りました。さらに、その上下に切れ端をホットボンドで貼り付け、角を 電熱線カッターで落としました。土星の方は、直径10cm。

(2)それに、紙粘土をつけました。木星・土星は、極方向を短くした「回転楕円体」(夏ミカンのような形:両惑星ともは、地球の10倍ほど大きさなのに10時間ばかりで回転しているため、遠心力によって、赤道部分膨らんでいる)にします。(データとしては、土星は、赤道半径71mm、極半径67mm.木星は赤道半径60mm、極半径54mm)ですが、ぼくは見た目で適当に作りました。この時、形を補正するには、ただ押したりしてもダメで、必要な粘土は、付けたり、もぎ取ったりする必要があります。

(3)乾く前は、机などに置くと、底が平らにへこんでしまうので、ビニールのプチプチの着いた断衝材を2枚重ねで敷いて、その上に置きました。(置く面は、プチプチの着いてない面、プチプチの面に置くと、プチプチの痕が付いてしまう。)

天王星、海王星

(1)天王星、海王星の心材は、直径35mmの発泡スチロール球にしました。丁度、直径5cmの発泡スチロール球があったけれど、全体の調子も合わせるため、天王星、海王星も心材に紙粘土で作ることにしました。作り方は、上同様ですが、これらは、直径5cmの発泡スチロール球をそばに置いて、それと大きさが同じになるように作りました。これらは、できるだけ球形になるように作ることに気を使いました。

水星、金星、地球、火星

(1)水星、金星、地球、火星は、心材を使わず、長めの虫ピンに紙粘土をダンゴのようにつけました。虫ピンの頭を粘土の中に入れないと、抜けてくるので注意。

冥王星

(1)冥王星だけは、直径2mmととても小さいので、適当な丸い頭の待ち針を使おうと思ったが、調べてみると直径2mmというのは、とても小さくて手持ちの待ち針にはその大きさの物がありませんでした。(いろいろな大きさの待ち針は、あるようなので、探してみたいと思っている)そこで、ホットボンドで作ることにしました。ホットボンドでの作り方は、@ホットボンドを虫ピンの頭に適当量つけます。Aそれをローソクであぶると球形になります。Bそれを冷ますと出来上がり。
冥王星の色は、写真集などでは、青のものが多いが、あれはコンピュータによる色付けで、スペクトル観測によると、淡黄色だそうです(鈴木敬信『天文学辞典』地人書館1986「冥王星の項」)。これは、太陽光線をそのまま反射していることらしい。それで、ぼくは黄色のホットボンドを使いました。

乾燥

(7)木星や土星は、乾いてくると、どうしてもヒビ割れができるので、少し水で柔らかくした紙粘土で補修しながら乾かす必要があります。この時、形も粘土をつけて補正します。剥がれると困るので、付けられる方も少し水で濡らして、しっかりつけました。あまった紙粘土は、少し水をつけてビニールの袋等に入れると、乾かずまた使えます。土星や木星は、乾くまでに2日くらいかかりました。

(8)乾いたら、紙やすりをかけて、粘土は出来上がり。

 

 

土星の輪の作成

 強度と、全体の質感から、ベニヤ板で制作。シナベニヤ板4mm厚。27cm四方あれば良い。これに、内半径7.5cmと外半径13.5cmの同心円を描きます。明るい輪を考えると、輪の内半径は9cmで、その方が写真などに写っている輪のイメージに近いことになります。どちらが良いかは、考え方でしょう。そのカットは、糸ノコとも考えましたが、ぼくは大き目のカッターで切ることにしました。まず、線に沿ってていねいにカットしていきました。一度では、カットできないので、最初は、浅く一度、全周に切れ目を入れます。切れ目を入れることができたら、そんどはそれに沿って、少し力を入れて切っていきます。それでも、まだ切れませんが、3度、4度と繰り返すと、4mmベニヤはカッターで切ることができます。裏面から切ったら、もっと回数がすくなくて切れますが、どうしても少しカットする線がずれてしまうので、私は表からだけ切りました。力を入れるので、手を切るとかなり深い傷となるので注意してください。
 その後、発泡スチロール球で木星や土星、天王星、海王星を作った時は、この輪を建具などを作っている知り合いの職人にきれいにカットしてもらいました。
 

これに、土星の輪の色を塗り、半径9cm、11,7cm、13cmのところにフランス、カッシニと、エンケの間隙を黒のマジックで描きます。カッシニの間隙は、少し太く(4mmくらいの幅)で引き、他の間隙は細いマジックの幅で良いでしょう。土星の輪は、少しオレンジを入れた黄色にしました。

 

色塗り

写真集の色は、必ずしも天体望遠鏡で見た色と同じじゃありません。写真は、フイルムの特性などで、土星でもみどり色ががったり、赤みががったり、青みががったりするのです。また、最近の写真はコンピュータで画像処理しており、まったく見た目の色とは異なっている場合もあります。ですから、写真集などで気にいったもののような感じに塗ると良いと私は思います。塗料は、アクリル絵の具がもっとも良いですが、今回は、木星、土星は大量に使うので、手元にあったポスターカラーで塗りました。これは、できれば耐水性の「ネオカラー」の方が良いでしょう。ポスターカラーなので、その後、「水溶性つやだしニス」を塗りました。乾かす時に、何回か下に敷いた新聞紙張り付いてしまうたので、塗り直しをすることになってしまいました。ニスを塗る方は十分ご注意ください。

スタンド

水星、金星、地球、火星・冥王星は、小さいので、フイルムケースに油粘土を入れて、そこにこれらの惑星のピンを刺してスタンドとしました。土星の輪は、本体にかぶせ、展示する時は、片方に台を置いて、斜めにかぶるようにするとカッコイイです。

表示

これに、小さくて手軽で便利と「最近見つけたイイもの」の項で紹介した、ラベルライター・ P−touch 120ピータッチ(ブラザー工業株式会社 標準価格¥5980円)で、スタンドに個々の名前を付けました。

これで完成!

 


発泡スチロール球での試作
10億分の1の模型がていも良いことが、確かめられたので、もっと手軽に発泡スチロールで作ることを開発したいと思っています。その場合、木星は14cm球が良いが、「ホシノプレン」に照会したところ、14cm球はなくて、一番近いもので15cm球とのこと。土星用の12cm球はあるとのことだが、木星と土星の対比を考えると、15cm球と、12.5cm球の組み合わせが良いのではないかと思います。

その後、発泡スチロール球による試作品を作りした。土星の赤道が膨らんだのは表現できませんが、なめらかで軽く、完成度はこちらの方が数段上です。色は、その作り方についての記事は、近いうちに本ページに載せる予定です。

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