2024年の天文現象 

ホーホー村教育研究所
 
西暦2024年は、明治157年、大正113年、昭和99年、平成36年,令和6年にあたり,うるう年で1年が366日です。

今年の天文現象
今年は,日食・月食が国内で一つも見られず,あまり派手な天文現象がありません。ただ,10月には,尾をひいた彗星が肉眼でも見られるかもしれません。ただし,彗星の見え方というのは,その時にならなければわかりません。

8月13日ごろ ペルセウス流星群 好条良。ただし,夕方は半月の明かりが邪魔になります。夜遅くなれば,月が沈み,最高の条件となります。
★10月上旬 明け方 長い尾を引いた C/2023 A3 ツーチンシャン彗星が肉眼でも見えるかもしれない。

★金星 
年始めには,明け方の東の空にギラギラ光って見えます。その後,光度が低くなりだんだんと見づらくなります。6月4日には,太陽の向こう側に回り込む(外合)ので,その前後しばらく見えなくなります。7月末頃から夕方の西の低空に見えるようになります。高度が高くなって見やすくなるのは,9月ごろからでしょう。
★火星 夕方,見やすくなるのは,12月頃からです。来年2025年1月には,地球に近づきとても明るく見えます。 
★木星 夕方,見やすくなるのは,11月ころから,次の年の5月ごろまで。
★土星 夕方,見やすくなるのは,8月ころから,次の年の1月ごろまで。



日食と月食

今年は、日食が2回,月食が1回起こりますが,日本国内で見られるものはありません。
日食・月食が国内で見られないのは,2003年以来です。
3月25日には,半影月食が起こりますが,昇った時には半影月食が始まっていて,高度が低く肉眼では気が付かないかもしれません。

今後の日食・月食
日食

国内で見られる日食は,2030年まで見られません。2030年には金環日食が起こり,その影の中心が北海道を通ります。

月食
来年の2025年には,2回の月食が見られます。
1回目は3月14日皆既月食ですが,日本では北海道・東北地方でしか見られません。しかも,月が昇ったときは皆既が終わった部分月食の状態です。
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2回目は,その半年後の9月8日の皆既月食で未明に起こり全国で見られます。

2014.10.8の皆既月食



月食は,月に地球の影が映る現象ですから,全世界月の見える所なら,同時に月食現象が見られます。



日食・月食は,どうして起こる?

 月食は、月に地球の影が映る現象で、日食は月の影が地球に映る現象です。どちらも、毎年2~4度ほど起こりますが、日本で見られるものとなると、月食は、2年に1度くらい。日食は、数年に1度くらいとなります。皆既食(全部が欠ける食)を見るとなると、日食と月食で大きな違いがあります。皆既月食は、数年に1度見られますが、皆既日食の方は、<今,住んでいるところから見えるチャンス>となると、数百年に1度というとても珍しい現象となってしまいます。
 
どうして、このような違いが生じるのでしょう。月食は、月に地球の影が映る現象ですから、世界中で同じ現象を同時に見ることになります。その月が見えるところなら、地球のどこからでも月食が観察できるのです。ですから、地球の裏側では見えませんが、ほぼ地球の半分の場所全部から同じ月食が見えるのです。
 
ところが日食は、地球に月の影が映る現象ですから、地球の上で月の影が映っているその中に自分がいなければ、日食は見えないのです。太陽が少しでも、月と重なって見える現象を「部分日食」といい、そこは、薄い影「半影」が地球に映っている場所で、地球の1/4くらいの地域になります。ですから、部分日食が見えるのは、そう珍しくないのですが、太陽と月がびったり重なって見える所(全く太陽が見えないため、濃い影になっているところ=皆既日食・金環日食)となると、大変狭く、その時によって変わるのですが、その範囲は、直径数十キロもないのが普通です(地球~月の距離、地球~太陽との距離が少し変わるので、その範囲の大きさは、変わります)。
 
その影の部分は、地球と月の動きでどんどんずれていくので、見える場所は、ある幅を持った帯状の地域となります。自分の住んでいるところが、その帯の中に入るのは、数百年に1度の確率となるのは,そのためです。当日晴れるとは限りませんから、自分の住むところで、皆既日食を見るというのは、とても難しい事となります。もし、見ることのできた人は大変幸運ということが言えます。しかし、海外遠征をすれば、毎年のように皆既日食を見ることもできます。


日食・月食はいつ起こる?
 
地球の軌道面と月の軌道面は,5°ほど傾いているため,月が太陽の反対側(満月)や太陽側(新月)になっても,普通はピッタリと重なりません。(左図で,Aの位置など)










  しかし,月の軌道がいくら傾いていても,必ず地球や月の影が一直線上になる時があります(上図でBの位置など)。そこに地球がくると,地球の影が月に届くと月食が起こり、地球の影が月に届くと月食が起こります。
 地球が太陽の周りでどこの位置にあるかは,毎年決まっています。ですから,月食は,デタラメに起こるのではなく,ほぼ決まった月日に起こりやすくなります。地球を1月で回る月は,半月ごとに地球と太陽の間に割り込んだり,太陽から見て地球の反対側に回り込んだりします。ですから,月食の半月後か,半月前には月は,地球と太陽の間に入り込んで,日食が起こることが良くあります。日食の半月後や半月前も同様です。ですから,月食-日食-月食とか,日食-月食-日食というように月食,日食が半月を隔てて立て続けに起こることが良くあります。
 月と地球との関係は,180°反対位置でも,ほぼ同じ関係になるので,上の図の例では,日食・月食が起こりやすいのは,3月とその半年後の9月ごろとなります。
 月の軌道は,少しずつ(1年で,19°20′)ずれて行き,日食・月食の起こりやすい時期もずれていきます。ずれが積み重なり、ほぼ19年で元に戻ります。


【メトン周期】
 19
年の日数は,365.2422日×19=639.6日で,月食・日食の日を決定する朔望月の235倍,29.5306×235=6939.7と,とても良く一致しています。そのため,19年後の同じ月日には,ほとんど同じ形の月が見えることになり,ですから,19年後の同じ月日に日食・月食も起こりやすいのです。

 これを,メトン周期と言い,BC440年ころのギリシャの数学者メトンが発見したといわれています。しかし、月の軌道と黄道との交点が1周する時間は,19年ではなくて,18.612年です。月の軌道と黄道との交点は,1年で,19°20′ズレていきますから,19年と18.612年との差0.388年分のズレは7.5°ほどになります。そのため,同じ月日に日食・月食が起こるのは,多くても5周期程度(95年程度)になります。また,日食が見られる場所もかなりズレますから,あまり良い日予報とは言えません。
 
【サロス周期】
 月の軌道と黄道との交点は,太陽の動きと反対向きにズレるため太陽がその交点にもどる日数は,346.6201日となります。この交点に太陽が近づくと日食・月食がこるので,これを「食年」といいます。19食年すなわち346.6201×19=6585.78日と,223朔望月(29.530日×223=6585.32日)がとても近いので,この時に日食・月食が起きます。月の動きは,太陽の動きよりずっと早いので,日食・月食の日付は,月の動きによって決定されます。223朔望月(6585.32日)は,18年11日と1/3日となりますから,ある日食・月食が起こった18年11日と1/3日後には,日食・月食が起こることになります。さらに,地球と月の距離の変化の周期27.5546日の239倍は,6585.55日でこれも大変近いのです。すると,ほぼ同じような日食・月食が起こることになります。ただ,1/3日という端数が付くので,その間に地球が1/3回転してしまい,日食の見える場所が大きくかわります。
 
 18年11日と1/3日の3倍,54年34日後には,ほぼ同じ場所で日食がみられます。

18年11日と1/3日ごとに似た日食・月食が起こるこの周期のことを「サロス周期」といい,1400年くらいもの長い間,前回とほぼ同じような日食が続けて見られます。


過去・未来の日食の様子を調べるの国立天文台の暦計算室で調べることができます。
日月食等データベース - 国立天文台暦計算室 (nao.ac.jp)

これから日本で見られるの日食・月食表
 


10月17日 「スーパームーンの日」 
10月17日は,今年満月が最も地球に近づ
く「スーバームーンの日」です。最も小さな満月に比べて、視直径が約14パーセント大きく、約30パーセン明るく見えます。最も地球に近づくのは,09時51分。満月の瞬間は,その日の20時26分です。
 ス-パームーンは,天文学的には,特段の月が見えるわけではないのですが,「中秋の名月」のように月を愛でる話題としては,悪くはないと私は思っています。
  
「スーパームーン」の話
スーパームーンは,1979 年に占星術師リチャード Nolle (ノル)によって作られた用語で,この定義は,彼独特のものです。彼は,月が地球にある基準以上に近づくことを「スーパームーン」としていますから,新月も「スーパームーン」になります。ですから,1年に何度も「スーパームーン」現象があることになります。彼の定義では,2018年には5回の「スーパームーン」があることになっています。
 NASAのサイエンスニュースでも「スーパームーン」を宣伝しているので,こんな「スーパームーン」が流行するのは,「困ったものだ」と思っていましたが,国立天文台の空高く輝く今年最大の満月を見よう!は,冷静な情報を書いてあり好感が持てます。
 
私は「中秋の名月」のように,月と親しむということで,〈1年間で一番地球に近づいた満月の日〉を「スーパームーンの日」と定義すると良いと思っています。

 実は,細かなことを言うと,天文暦などに書かれている〈月が最も近づく時刻〉というのは,地球の中心と月の中心の距離でのことです。ですから,赤道上で月が頭の上に見えるときは,地球の半径分約6370kmほどさらに近づきます。緯度40°では,4900km程度地球中心より近いことになります。地球の中心と月の中心の距離の変化は,この頃は1日で1000km程度ですから,地球の回転による遠近の方が大きく影響して日本で月が一番大きく見えるのは,夜中の12時ころとなります。と,言ってもその差は,地球ー月の距離35万7千kmに比べてわずか(地球ー月の距離を357㎝とすると6㎝くらい)ですから,大雑把には10月17日一杯を「スーパームーンの日」としても良いと思います。
ちなみに今年最も小さな満月が見られるのは,ほぼ半年前の
2月24日と,3月24日で,ほぼ同じくらい小さく見えます。

実際に大きく見えるか 
 月の見かけの大きさは,とても小さく腕を伸ばして見る五円玉の穴の中にすっぽりと入るくらいしかありません。写真では,上の写真のようにその大小は明らかですが,実際にはその差は,とても小さく,となりに比較する小さな満月が出ているわけではないので,見て「大きい」ことを確認することはできません。でも,〈月を楽しむ〉という意味では,楽しいのではないかと思います。
 月の出,月没には,月や太陽がとても大きく見えます。これは錯覚のです。
 スーパームーンがどのくらいの違いかを自分の目で確かめたい方は,1枚の1円玉を2m33㎝離し,もう1枚の1円玉を2m06㎝離して見ると,遠い方が最も小さい満月の大きさ,近い方が最も大きい満月の大きさ,となります。実際に見てみると,「そうい言われれば,ちょっと大きいかもしれない」という程度にしか私には見えません。


3月20日(水)(春分の日)
9月22日(日)
(秋分の日)太陽の影が一直線に動く
今年は,3月20日が春分の日,9月22日が秋分の日ですが,春分・秋分の日の太陽の影が一直線に動くことを知っていますか? 写真のような簡単で確めることができますから,観察してみませんか ?!
動画
https://www.youtube.com/watch?v=Dk1cO4NdIuY&feature=youtu.be     



水星水星は,太陽に1番近い惑星です。太陽の引力も強いので、速いスピードで回らないと、太陽に引き込まれてしまいます。それで、水星は、秒速約50kmというスピードで太陽の周りを回っています。近いところを猛スピードで回っているのですから、水星は太陽の周りを約88日で一周します。それを地球から見ると、太陽の付近を1年に3回ほど右にいったり、左に行ったりするように見えます。時に太陽に重なって,小さな黒い点となって見えることがあります。それを水星の「日面通過」といいます。その日面通過は2006年11月9日の朝に見ることができました。この次,日本で見られるのは,その26年後の2032年です。左の写真は,2006年の時のものですが,真ん中より右少し下の小さなポツンとした点が水星で,太陽にくらべ水星がとても小さいことがわかります。下に見える黒い点は,黒点です。


 水星は、いつも太陽の近くにあるので、水星を見るのは、なかなか難しいものです。太陽から離れて見える位置関係の時,夕方の西の低空か、明け方の東の低空で見ることができます。太陽の左側に水星がある時には、夕方,太陽の方か先に沈むので、西の低空に水星が見えるのです。太陽の右側に水星がある時は、夕方、水星は、太陽より先に沈んでしまうので見ることができません。この時、明け方なら太陽より先に水星が昇ってきますので、見ることができます。しかも、低空には大抵雲があり,見えている時間も10分程度と,なかなか見つけることが難しいのです。

 太陽から最も離れて見える日の前後1週間くらいが勝負です。見晴らしの良いところで、方向を確かめ、まだ薄明るい内に探すと見つけることができます。夕方は、真っ暗になった時は、水星は、もう沈んでしまっています。明け方ですと、太陽が出る直前が水星の高度が高くなりますが、明るくなると見えなくなってしまいます。一度、捕らえると、肉眼でもはっきりと見えますが、最初は、遠くの景色で良くピントを合わせた双眼鏡で探すと見つけやすくなります。
 一般の人たちには、水星を見つけるのはなかなか困難ですが、金星や月などの明るい天体があると、それが目印にすると、見つけやすくなります。
 ただ、月齢2とか、月齢28の月は極めて細い月で、この月を見るためには空が明る過ぎると見えません。と,言って,夕方すっかり暗くなった時は,月が沈んでしまうなのでだめです。それで、なかなか見られません。でも、こんな月を探して見つけた時には、「こんなに細い!」と感動することでしょうから、探してみてください。


夕方、西の低空で水星が見やすい時期

 夕方の西の空で見やすい時期は,3月25日ころ,7月22日ころです。見やすいのは,この日の前後1週刊くらいです。
この中で7月22日ごろには,明るい金星が右下に見えていますから,金星を目印にその上を探すこともできるので見つけやすいでしょう。

明け方、東の低空で水星が見やすい時期

 
明け方、東の低空で見やすい時期は,1月12日ころ,9月5日ころです。


金星

今年度は
 年始めは、明け方の東の空にギラギラ光って見えます。その後,どんどん高度が低くなり,だんだんと見づらくなります。6月4日には,太陽の向こう側に回り込む(
外合)ので,その前後しばらく見えなくなります。7月末頃からは夕方の西の低空に見えるようになります。高度が高くなって,見やすくなるのは,9月ごろからでしょう。


内合と外合
金星が見かけ上,太陽と重なるのは,〈太陽と地球の間〉の時と,〈地球から見て太陽の向こう側になった時〉です。〈太陽と地球の間〉の時を
内合,〈地球から見て太陽の向こう側になった時〉を外合といいます。金星が,見かけ上太陽とほぼ重なって見えなくなる期間は,内合では金星との距離が近いので短く1か月もありませんが,外合では2か月ほどと長い間,見えなくなります。


 天体望遠鏡で見ると,太陽の向こう側にあるため,9月ころまで,はほぼ満月状で小さく見えます。その後,太陽のこちら側に近づいてきて,年末には,半月状に見えてかなり大きく見えるようになります。

                    金星の見え方
 同じ天体望遠鏡で写した写真です。大きさが違うのは,金星との距離が近くなったり,遠くなったりするためです


白昼の金星の見つけ方

 金星が上の写真の左から2番目のころ,金星は一番明るく見えます。それを「最大光輝」といって,そのころ前後1週間くらい金星は、あるところがわかると白昼でも肉眼で見つけることができます。しかし、闇雲に探してもなかなか見つかるものではありません。青空をじっと見ていると、「どこを見ているのか」、「目のピントがあっているのか」など、わけがわからなくなって、グラグラしてきます。この時期の金星は,明けの明星なら右上に40°くらい,宵の明星なら左上に40°くらいのところに見えます。双眼鏡があったら、遠くの景色で良くピントを合わせ、そのへんを探すと、かなり見つけやすくなります。ただし、間違って太陽を見ると、失明の危険があります。ですから、探す時は、必ず、建物の陰に入り、〈金星が見えて、太陽が見えない日陰に入って探す〉ようにしてください。そうすると安全です。一度,見つけると肉眼でも見えます。
 確実に昼間の金星を見る方法があります。それは、【日の出前に金星が見える時に,金星をずっと追いかけて見ている】という方法です。
そうすると、太陽が昇っても金星が青空に白く見えるのを確かめることができます。一度見失うと、わからなくなってしまいますが、自分の居る場所を固定して、「あの電柱の上」とか、「窓の角から、10㎝の場所」というように確認すると、ちよっと目を離しても、その近くにあるので、続けて見つけることができます。
 他の人に教える時も、「ここに立って、あの電柱のすぐ上」というようにすると、たいていは見つけることができます。
太陽に重なる直前の金星(低空で地球の大気により光が分散し虹になっている)

火星火星は、687 日で太陽の周りを回っています。地球のすぐ外側を回る惑星で、2年2ヶ月ごとに地球が火星に追いつき接近するので火星が見やすい年と,見づらい年が交互にやってきます。近づいた時と、遠い時では、地球から見た火星の大きさも左図のように、とても大きく変わります。火星は、見かけの明るさ、大きさがとても変わる惑星で,「接近」の時は、赤っぽくギラギラととびきり明るく輝くので、星空の中でとても目立ちます。 火星の軌道は、かなり楕円ですので、近づいた時どうしで比べても、毎回地球との接近距離が大きく変わります。右図でAのような時には、あまり近くなりませんが、Bのような時には、とても近づきます。とても近づく時を「大接近」と言い、あまり近づかないAのような時は、「小接近」と呼ばれています。
 「大接近」の位置に地球が来るころ地球は夏です。逆に「小接近」は冬に起こり、15年または、17年ごとに繰り返されます。

 2003年の「大接近」の時は,地球~火星間の距離が5576万キロメートルとなり、「およそ6万年ぶりの超大接近」と,とても騒がれました。1億分の1の模型で考えると,その距離は558mです。次の2018年の大接近でも、576mですから,550m先の20m違いほどの違いしかありません。ですから,この程度の違いを大々的に報じたのですから、[ちょっと困ったことだ]と思います。
 
 火星は,「大接近」の時でも、大きな天体望遠鏡を使っても表面の模様などはあまり良く見えません。なにしろ、500m先の野球ボール(硬球の直径は、7.4cm)を見る程度の大きさにしか見えないのですから…。それで探査機が飛んで詳しい火星観測ができるようになる前は、火星表面の模様を運河と見誤り,地球人でさえ作られないほどの大運河を作った高等な生物=火星人が住むと、本気で考えていた天文学者もいたのです。
 現在では、火星に探査機が着陸し、「水によって出来た地形があることや水が流れたことが確実であること」がわかりました。その他、生命の痕跡がないかなど、いろいろな探査が続けられています。火星には、北極・南極に極冠と呼ばれる、ドライアイスと水からできた氷が覆い、四季変化をします。
 地球から火星を見ると,その動きが複雑に見えます。普通は,西から東に動きますが,接近の前後は,逆に東から西にも動きます。これは,ちょうどグランドを火星さんと地球さんが走っていて追い抜くのに似ています。追い抜くまでは,火星さんは前に見えますが,追い抜いた後は,地球さんから見ると後ろの方向に見えます。これを「逆行」といいます。






左の写真は,2022年12月に火星が地球に近づいた様子です。冬の1等星たちよりもずっと明るい火星がく写っています。





今年
の火星
今年の前半は,火星は太陽の向こう側にあり,小さくしか見えませんが,だんだん近づいてきます。2025年1月12日ころには,かなり接近します。

 

(天文書を見ると、アマチュアの人たちが写したすばらしい火星の写真がたくさん載っています。しかし、その写真を写した天体望遠鏡で火星を見ても写真のように、はっきり見えるものではありません。ビデオやwebカメラで数千枚の写真を撮しその中から,良く写っている写真を数百枚をコンピュータで合成して初めてあのような写真ができるのです。左の写真もそうして撮した写真です)

 
 




木星
 木星は、約12年で太陽を一周します。太陽の周りを回るスピードは、秒速13kmくらいです。それで、一年で1つの星座か2~3つの星座中に留まります。

 木星は、金星についで明るく見える天体ですから、番明るい星を見つけたら、木星か金星だと思って間違いありません。 木星は、その直径が、地球の11倍もある巨大な天体で、小さな天体望遠鏡や野鳥観測用のフィルドスコープでも丸い形がわかります。また、その周りほ回る衛星が4個(これらは、ガリレオが手作りの天体望遠鏡で発見したので、ガリレオ衛星と呼ばれる)見ることができます。これら4つの衛星で木星に一番近いイオは、わずか2日ばかりで、最も遠いガニメデさえ、17日くらいで木星を一周しています。そのため、数時間でその位置関係が変わっていることがわかります。

木星の衛星が木星の周りを回るとき、木星本体にその影が映ったり、木星の影に入り込むことがあります。地球では、日食や月食にあたります。この現象は、角度の関係から公転周期の半分の6年毎に起こり、2024年にもこの現象が見られます。ただ,実際に20㎝反射望遠鏡で見ても,それほど見やすいものではなく,なかなかはっきりとは見えものでした。ところが,なんとニュートンが『プリンキピア』の中でこの現象について、論述しているのを見つけ、ビックリしました。この本の発行が1687年です。その少し前,当時は、世界1の性能のガリレオの天体望遠鏡(今ではオモチャくらいの性能しかありません。)を使ってガリレオが初めて木星の衛星を発見したのは1610年です。ガリレオの望遠鏡では、この現象は見る事ができません。それから、わずか77年で天体望遠鏡は、大変な進歩をしたわけです。
ガリレオの木星は、地球より大きいのに10時間ほどで一回転しています。そのため、その遠心力で赤道部分が膨らみ、楕円形に見え、少し大きな天体望遠鏡ですと、本体に雲でできた横の縞が見えます。

今年度は,

2024年の木星は,秋から冬の星座である,「おひつじ座」,「おうし座」の方向に見えます。これらは,夕方よく見える期間は、秋の星座が良く見える11月ころから,来年の5月ごろまで。その後、しばらく見えなくなって、夕方見やすくなるのは、再来年年の2月以降となります。

ガリレオと木星観測

1610年,ガリレオは,自作の天体望遠鏡で,木星の衛星の観測を1月7日から,3月2日まで,晴れていればほぼ毎日観測していました。
の寒い中での観測だと思われます。
調べると,その時の木星は,今年とほとんど同じ位置,おうし座にありました。




土星 土星は、美しい輪があります。土星は、約30年で太陽の周りを一回りしています。それで、一年で1つか2つの星座中に留まります。

今年も,「みずがめ座」にあります。夕方よく見える期間は、8月ころから来年1月ごろまで,その後、しばらく見えなくなって、夕方見やすくなるのは、再来年の9月以降となります。

土星もその直径が、地球の9倍もある巨大な天体で、小さな天体望遠鏡でも輪がわかります。野鳥観測用のフィルドスコープでは、なんとかθのように見えます。土星の輪は、幅が数万㎞もあるのに厚さは数十メートルしかありません。輪の傾きは、地球との位置関係で変化し、完全に真横に見る位置か関係になった時には、地上の天体望遠鏡では、まったく見えなくなってしまいます。そのような現象が15年ごとに起こります。現在もかなり細く見え,2025年には,またとても細くなり,輪の見えない土星が見られます。細い輪

  


天王星・海王星
 
天王星の公転周期は85年。海王星は165年。天王星・海王星は,暗いので、双眼鏡や天体望遠鏡を使わなくては、見ることが困難です。
天王星は、今年もおひつじ座にあり、秋〜冬が見頃。天体望遠鏡の高倍率で見ると,円い形が確認できます。


海王星は、今年も、みずがめ座にあり、秋が見頃です。

冥王星:
 冥王星は,2006年の国際天文連合で,惑星の仲間からはずれ,準惑星dwarf planetとなりましたが,エッジワース・カイパーベルト天体の代表的天体の地位は,ゆらくものではありません。冥王星の公転周期は248年で,冥王星の動くスピードは、秒速約5kmほどです。冥王星は、地球の月よりも小さい天体で、太陽からもとても遠く、見るためには口径40cmほどの大天体望遠鏡が必要です。このくらいの天体望遠鏡でも、覗いた人からは、「どれ?」、「よくわからない」という程度にしか見えません。冥王星は、いて座にあり、夏が見頃です。

冥王星を見て来ました




その他


完全半月
 半月(上弦の月)は,毎月ありますが,真の半月となると,その時刻に半月が見えなければなりません。
半月は1年に12~13回ありますが,その半分は日本から見えず地球の反対側で見えることになります。

今年,真の半月(上弦の月)が日本で見られるもの
 2024年に真半分に見える半月を見られるのは,7回あります。
 
 ★1月18日(木)  12時53分ころ
 ★3月17日(日)  13時11分ころ

 ・5月15日(水)  20時48分ころ
 ★6月14日(金)  14時18分ころ
 ★9月11日(水)  15時06分ころ
 ★11月09日(金)  14時55分ころ
 

この時刻は,地球の中心から見た真の半月で,実際とは少しの違いがあります。
ですが,この日,眼で見ると,見事な半月に見えると思います。

 古代ギリシヤのアリスタルコスは,月が半月に見える時に太陽との角度を測って,月と太陽との距離の比率を求めようとしました。これは方法として正しかったのですが,実際には月が完全に半月になる瞬間(肉眼で見極めることは,困難ですから,大きな誤差が生じてしまいました。また,大気差があるので,その測定から月と太陽との距離の比率を正確に求めるのは,難しいことです。

上の表の内で〈月と真の半月が同時に見えるチャンス〉は
印です。

 写真は,2015年11月19日に写した半月ですが,これも真の半月ではなくて,1時間20分後の写真です。真の半月の時刻から遥かにズレているのですが,これが半月ピッタリなのか,前なのか後なのかは,この写真でも,判断するのは無理だと思います。ですから,肉眼でその瞬間を観測しょうとしたアリスタルコスがうまく測定できなかったのは無理からぬことだったのです。

真の半月を写したいと思っているのですが,まだ写すことができていません。




流星 流星は、空の条件の良いところなら、1時間に2-3個流れるのが普通です。「しし座流星群」の様に、同じ方向からたくさんの流れ星が飛ぶものがあります。「しし座流星群」は、飛ぶ期間や日時が極めて限られるのに対し、毎年、よく飛ぶ流星群があります。代表的なものは、次の三つで、これらは、毎年たくさん飛ぶので「三大流星群」といわれています。

◎しぶんき座流星群
しぶんぎ座は、18世紀にフランスの天文学者のジェローム・ラランドが名付けた星座で現在は、この星座は使われていません。しかし、この領域を放射点とする流星群(りゅう座ι流星群)があり、この流星群と区別するため,りゅう座の中心から離れすぎていることから、,かつての星座名をつけてしぶんぎ座流星群と呼ばれているものです。年の初め1月 1日~ 1月 7日頃に見られる流星群で、出現数はピーク時には、1時間あたり30個程度といわれています。ピークを1日ずれると1時間に2~3個程度まで減ってしまうことが多いようです。国立天文台によると、「母天体は諸説あり、まだ確定的ではありません。2003年に発見された、小惑星番号 196256 の小惑星(仮符号 2003 EH1)が、近年では有力視されています。ただし、この小惑星が、どのように流星の元となる塵(ダスト)を放出したのかは、わかっていません。このほか、1490年に一度だけ出現した1490 Y1 という彗星や、マックホルツ彗星(96P/Machholz)も母天体の候補としてあげられています。まだまだ不明な点が多い流星群のひとつです。」とのことです。

◎ペルセウス座流星群

夏7月20日~ 8月20日頃に見られる流星群です。1 時間に30個ほどの出現が予想されています。出現の時期が長いため、前後数日間は飛びます。他の流星群に較べて流れる速度が速く、明るいものも少なくありません。母天体は、スイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)です。太陽のまわりを約130年かけて回っています。

◎ふたご座流星群

12月 7日~12月17日に見られる座流星群です。国立天文台によると、「母天体は、フェートン(Phaethon ファエトンとも呼ばれる)という名前の小惑星番号 3200 番の小惑星だと言われています。つまり、ふたご座流星群の流れ星の元になる塵(ダスト)の由来が、この小惑星であることになり、非常に古くには彗星として塵を放出していて、その後彗星活動を停止して小惑星になったとも推測されています。しかし、まだその確証はとれていないのが現状です。 このため、今観測されている流星のもとの塵が放出された時期がわからず、ダスト・トレイルによる流星群の予報などは、まだ行われていません。 」とのことです。
※ここでいう「1時間あたりの出現数」は、「実際に見られる数」とは、ちよっと違います。「出現しても見えなかった」ことも良くあります。この出現数は、見晴らしの良い、月明かりなどのない最高の空の状態で、手分けして何人かの人が漏れなく数えた個数です。実際に一人で見られる数は、条件の良い空でも1/3くらいだと思われます。


今年の予想
◎しぶんき座流星群
 
 1月4日18時に極大が予想されています。この時刻には,輻射点がまだ地平線下であることから,少し前の4日の早朝の方が条件が良いと思われるが,下弦の月があるので条件は良いとはいえない。
◎ペルセウス座流星群
  8月12日23時が極大と予想されます。今年は,極大日に半月ですが,21時半を過ぎる沈むので条件は良いと言えます。
◎ふたご座流星群
   今年の極大時は、12月14日10時と予想されていますが,極大日の月齢が13と最悪です。







ほうき星
 

 ほうき星(彗星)は、最近では観測技術が進み,毎年200個くらいもの彗星が発見されるのですが、そのほとんどは尾も見えず,天体望遠鏡でなければ見えいものです。肉眼でだれでも見えるような大彗星は、5年~10年に一度ほどの頻度で見られます。多くの彗星は、直径が数㎞ほどの汚れた氷の塊で、太陽から遠い時は、尾がありません。火星軌道くらいまで近づくと、氷が蒸発し、長い尾ができます。太陽の近くを通る彗星は、時には何億㎞にもおよぶ尾ができることもあります。

 ほうき星の見え方の予報というのは、専門家にもなかなか予測困難で、ウエスト彗星(1976)、ヘール・ボップ彗星(1997)のように都会地でも見ることができる大彗星となるか、天の川の見えるようなところでなければ肉眼では見えない彗星になるかは,なかなか専門家にもわかりません。

 2007の10月には,大望遠鏡でなければ見えないような暗い彗星ホームズ彗星(17P/Holmes)が突然大バーストし,100万倍も明るくなり,肉眼で月より大きく見えるようになったりもしました。(左の写真)





今年は
 C/2023 A3 ツーチンシャン彗星

2024年10月上旬に明け方の東の空で,肉眼でも見えると予想される彗星が発見されました。

まだ,どのように見えるかわかりませんが,左の
NEOWISE彗星のように立派な尾が肉眼で見られるかもしれません。



2020年7月に見えたNEOWISE彗星 C/2020 F3

NEOWISE彗星 (C/2020 F3) は、赤外線観測衛星NEOWISE(ネオワイズ)によって2020年に2020327日発見された彗星です。赤外線観測衛星NEOWISEは他にも彗星を発見しているので,区別する正式名称は,「 C/2020 F3」といいます。

 202073日に太陽に地球と太陽との距離の1/3くらいまで近づき,尾の長さは,3000kmにもなりました。本体は直径5kmていどの氷の塊です。それが,太陽に近づいて溶けて大きな尾になりました。




 

 













写真は,2018.12.11の46P/Wirtanen



写真は,1997年にとても明るく見えたヘール・ボップ彗星(1995 O1)です

オリオン座の1等星ベテルギウスが復活!!
ベテルギウスは,オリオン座の肩に位置する冬の代表的1等星ですが,昨年(2019)10月ごろから少しずつ暗くなり始め,1月下旬には,1.4等級に低下し,21個ある1等星で一番暗い しし座のレグレスと同じ程度の明るさなっていました。

左は,2020年2月末の写真ですが,かなり暗い状態です。

テルギウスはいつ超新星爆発してもおかしくない不安定な状態にあり,「爆発の前兆では?」と話題になっていましたが,現在は,普通の明るさに復活しています。

「冬の大三角」も復活です。





詳しくは,
YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=V0_-lKSKXFY
などをご覧ください。





きれいな星空を取り戻そう

 2018年9月6日3時7分59.3秒(日本時間)に、北海道胆振地方中東部を震源とした地震がありました。
 その夜は,1年に何度もないような晴天で,月明かりもなく「美しい星空」が見られ,たくさんの人から「すごい星空だった」の感想が聞かれました。
 下の写真は,その日,我が家の前で写した星空です。普段は,街の明かりで天の川はまったく見えない場所です。
2011年の東日本大震災の時も,「うつくしい星空が見えた」ことが話題になっていました。
 このような災害で「うつくい星空」のことが話題になるのは,望みませんが,実は〈いつだって私たちの頭上には,このような星空がある〉のです。
人工の光(光害)で,見えないだけなのです。
 街灯の傘を付けて上にもれないようにするなどの配慮で〈街中でいつでも天の川や流れ星か見られる〉ようになります。
「星の町」として,観光資源にしている町が取り組んでいる街が日本にも,外国にもあります。
例えば,岡山県井原市美星町は,全国で初めて「光害防止条例」が施行された町として話題になりました。
町内には美星町星空公園や美星天文台のほか、結婚式や各種イベントに利用できる施設もあり、町をあげて星空をPRしています。
その他,長野県では,県として「光害防止」に取り組んでいますし,環境省も「光害対策ガイドライン」を出しています。
 私の住む網走は,「自然豊か」ということで,売っている街です。実際,湖,海,流氷,野鳥,クリオネなどいろいろな自然が
豊かにあります。しかし,そんな街でも,美しい星空を見るには,数キロ離れた「原生花園」や「能取岬」などに出向かなければなりません。
網走でもそのような取り組みが実行できると,「天都山」や「北海道立オホーツク公園てんとらんど」などが「星の名所」となるに違いありません。



長野県の「光害防止について」https://www.pref.nagano.lg.jp/mizutaiki/kurashi/shizen/taiki/kogai.html 

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